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2014年7月27日日曜日

妨げられた世界王者   Lars Bender

2014年7月 ksta.deの記事 “Der verhinderte Weltmeister
http://www.ksta.de/bayer-04-leverkusen/-lars-bender-der-verhinderte-weltmeister-,15189374,27916134.html


 2014年ワールドカップブラジル大会、ラース・ベンダーは直前合宿中の怪我により出場を逃した。自らを世界王者と見なしておらず、思ってもいない。新シーズンの開幕までに回復が間に合うかどうか、それすらまだ不明だ。

 ラース・ベンダーは世界王者だ。いずれにしろ、マヌエル・ノイアーが言ったように彼もそう考えなければならない。しかし、ベンダーはただ首を振るのだった。「いいや、僕は間違いなく世界王者じゃないし、そうだと感じることもない」

 ここのところそのことは厄介な問題として彼の心に引っ掛かり、それについて話すこともまた難しいのだと、見ていても聞いていても明らかだった。本来ならこの25歳はブラジルでのワールドカップ決勝にドイツ代表のメンバーとして召集されていたはずなのだ。本来ならば。

 だが全ては様変わりしてしまった。522日、南チロルでのDFBのトレーニングキャンプでのことだ。その日二度目の練習メニュー中、第三者からは問題なく見えたのだが、ホッフェンハイムのケヴィン・フォランドと競り合った末にベンダーは痛々しげにピッチに倒れこんだ。医師の診断結果は、右大腿部二頭筋の筋肉及び腱の複雑な損傷という、重いもの。ラース・ベンダーにとってのワールドカップとは、たったこれだけだった。
「フットボールには競り合いがつきものだ、何ら咎め立てるようなことじゃない。ただ、タイミングが酷く悪かっただけで」
 今の彼はこう言うのだった。

 それから、彼のフットボール人生の中でおそらく最悪の日々がやって来た。はじめの34週間、彼はまともに動くことすらかなわず、自分で移動するにも車に乗るのにも苦労しなければならなかった。
「僕はまさしく、寝たきりだった。でもそれはまだ最悪のことじゃなかった。最悪だったのは、全身くまなく、その先まで、頭がワールドカップへと神経を使わせたせいで、いつも強張ったような気持ちでいたことだ」
 彼にとってはテレビで試合を見るのも辛かったというのも、不思議ではない。
「トーナメントを追おうだなんて気には全然なれなかった。もちろんドイツの試合は見たけど、楽なことじゃなかった。そこにいたはずの自分をどうしても見出そうとしてしまうからね」

 決勝戦を、他の多くのドイツ国民同様、彼もまた自宅のテレビの前で試合を見守っていた。
「本当に嬉しかった。あの場にいたひとりひとり、そしてチームに関わったあらゆる人々が成し遂げたんだ、よくやったよ。みんなのタイトルを祝いたい」
 現在もまだ、少しばかりの間を置きながらベンダーはこう話す。

 そして、その時は来た。マヌエル・ノイアーは試合後初めてのコメントで、怪我のために代表を去らなくてはならなかった仲間たちについて思いを巡らした。
「僕の心には今ベンダー兄弟やマルコ・ロイスがいる。彼らだってチャンピオンなんだ」
 その時まだピッチの上に立ちながら、代表のゴールキーパーはそう言った。
 自宅で、ラース・ベンダーは息詰まってしまった。
「とても有り難かったよ。マヌエル・ノイアーはゴールキーパーとしてだけじゃなく、間違いなく人間としても世界一素晴らしいってことが表れていたと思う」
 このバイエル・レバークーゼンの選手はまた、深い悲しみのなかにもいた。
「でもマヌがああ言ってくれたのは、本当に信じ難いくらいのことだった」

 おそらく、ラース・ベンダーは複数のポジションでの適性があるため、守備的MF(決勝戦において負傷欠場したケディラの代役であるとか)や右SB(レーヴの考えではもともとラームを6番においていた)として出場していただろうし、ブラジルでプレーした時間が数分のみに留まるなどということにはならなかったはずだ。
「今はもう、僕は4年間待つしかないんだ。でも、それまでに何が起こるかなんて誰にも分からない」
 何者かが彼の心を傷付けるかもしれない。彼の言葉は少しだけ運命に身を任せたようでもあった。いずれにせよ、彼にしてみればドイツ代表での将来について現段階で問うことは全くもって有り得ないことだった。
「それについて今何か話すのは本当に馬鹿げている。まず、僕はちゃんと立ち直らなきゃいけない。それに、弱った自分の状態を元に戻さないと」

 そのために、KaprunZell am Seeにあるレバークーゼンの練習場でここ数日、彼は復帰に向けた個人練習に取り組んでいる。8月第4週目の週末、ブンデスリーガの開幕までに彼がWerkselfのスタメンに名を連ねるかどうか、まだはっきりと予想することは出来ない。
「毎日少しずつ前に進みながら、やれる限りのことをしているところだ。自分に無駄なプレッシャーをかけるつもりは無いけどね」
 この男は知ってしまっている、あらゆることが起こりうるのだということを。




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超訳多めです。
2年後、そして4年後に代表で彼のプレーが見れますように。

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